オレフィンコポリマーとPIB粘度向上剤の最終比較

潤滑油の性能を支える粘度指数向上剤:OCPとPIBの比較分析

潤滑油添加剤の化学構造

潤滑油はエンジンや機械の命綱であり、極端な温度環境下でも安定した性能を維持することが不可欠です。そこで重要な役割を果たすのが粘度指数向上剤(VIIs)。寒冷地での始動時から酷暑の走行時まで、適切な粘度を保持させます。中でもオレフィン共重合体(OCP)PIB粘度改善剤が広く採用されていますが、その特性の違いをご存知でしょうか?

粘度指数向上剤の基本機能

VIIは潤滑油に添加される高分子化合物で、温度変化による粘度の変動を抑制します。低温時は流動性を確保しつつ、高温時でも過度に希釈されないよう調整。適切なVII選択は潤滑効率向上、摩耗抑制、油剤/機械の寿命延伸に直結します。

オレフィン共重合体(OCP)の特性

エチレンとプロピレンの重合で製造されるオレフィン共重合体は、優れた熱安定性と酸化安定性を特徴とします。温度上昇時に分子鎖が拡張して粘度を保持し、低温時は収縮してスムーズな流動を実現。

OCPの主な利点

  • 高せん断安定性:高速エンジンなどの機械的負荷下でも粘度維持
  • 温度応答性:多気候対応型マルチグレード油に最適
  • 鉱油/合成油両方との互換性
  • デポジット形成抑制によるクリーン性能

OCPの制約事項

長期使用時の酸化劣化に注意が必要

ポリイソブテン(PIB)の特性

イソブチレンモノマー由来の飽和炭化水素ポリマーで、優れた増粘能力と分散性が特徴。PIB粘度改善剤の線状分子構造は粘度調整効率が高く、特にディーゼルエンジンのスート粒子分散に効果的です。

PIBの主な利点

  • 高い増粘効率:少量で目標粘度達成
  • スート分散性:スラッジ形成抑制
  • 高負荷時の強靭な油膜形成
  • 産業用潤滑油のコストパフォーマンス

PIBの制約事項

  • 高温安定性に限界
  • 低温流動性がOCPに劣る
  • 高せん断環境での耐久性課題

OCP vs PIB 比較分析

特性 OCP PIB
粘度指数向上
せん断安定性
酸化安定性
分散性
低温性能
コスト

用途別選択ガイド

自動車用潤滑油

幅広い温度域で安定したOCPが最適。エンジンオイル・トランスミッション油・ギア油に採用

産業用潤滑油

高油膜強度とコスト効率が求められる場面ではPIBが有利。コンパレータ油・油圧作動油に適応

選定のポイント

以下の要素を総合判断:

  • 想定使用温度範囲
  • せん断負荷条件
  • コスト目標
  • 他添加剤との相性

よくある質問

Q1. 粘度向上剤の主機能は?
A. 温度変化による粘度変動を抑制し、一貫した潤滑性能を提供

Q2. OCPとPIBの併用は可能?
A. はい。せん断安定性・分散性・コストのバランス調整に混合採用例あり

Q3. 燃費性能に優れるのは?
A. OCPが温度応答性とせん断安定性に優れ、燃費向上寄与率が高い

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